きのうは二の酉。
昼間は浅草の鷲神社(おおとりじんじゃ)へ行き、夜は新宿の花園神社の酉の市に行ってきました。
根岸に引っ越してからの12年間は、毎年鷲神社のお酉さまに行っていたのですが
今年は実に34年ぶりに花園神社の酉の市にも行ってみました。
34年前、好奇心から入ってみた見せ物小屋にショックを受けて、
一緒に行った友人と泣きながらお酒を飲んだ思い出がよみがえりました。
今年も見せ物小屋は、同じように営業していましたが、
34年前の怪しさやいかがわしさが感じられなかったのは
私が歳を取ったから、という理由だけではないでしょう。
そもそも酉の市は江戸近郊農村の歳の市です。
歳の市は神社やお寺の境内で農具や正月用具などを手に入れるもので
熊手は道具のひとつとして、縁起物になったわけですが、
その意味では神社は「場」を提供してはいるけれど、
市を主催していた訳ではありません。
賑やかな飲食店や露店は市の本質に関わっているといえるでしょう。
ところが鷲神社では境内は熊手市だけで、多くの人がお参りをして熊手を購入して出て行きます。今年は参拝者のじゃまになるということで、人出が多くなると、べったら漬けや暦のお店は境内から出されてしまっていました。
一方、それとは対照的に花園神社では参拝するより
露店での飲食がお酉さまの主要な行事であるかのように
多くの飲食店が境内に隙間なく軒を連ねていました。
さらに花園神社は「前夜祭」と称して、2日間の酉の市を開いていて
厳格に酉の日の0時から24時の開催としている鷲神社とは対照的でした。
神様を祀る「祭り」の様相を強めてきた鷲神社と
フェスティバル的「祭り」の要素が色濃く出ている花園神社。
対照的なお酉さま風景に、日本の祭りの変遷する姿が見えるようで
とても興味深い経験でした。
来年2013年は三の酉までありますが、
一の酉は3日(文化の日)、二の酉は15日の金曜日ですから
今年以上の人出があることでしょうね。
静かで厳かだったかつての鷲神社のお酉さまも
怪しくていかがわしかった?かつての花園神社のお酉さまも
懐かしい記憶の彼方になりそうです。